物流効率化法の特定荷主とは|9万トンの基準・届出・課される義務
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物流効率化法で、すべての荷主・物流事業者にかかっているのは努力義務です。中長期計画・定期報告などの義務は、一定規模以上の特定事業者にかかります。内容は国の公表資料をもとにしており、変わることがあります。
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物流効率化法では、規模にかかわらずすべての荷主に荷待ち時間等の短縮などの努力義務がかかります。そのうえで、取り扱う貨物の量が一定以上の荷主は「特定荷主」として指定され、計画の作成や報告などが義務付けられます。ここでは、特定荷主に当たるかどうかの目安と、指定されたあとに求められることをまとめます。
特定荷主の指定基準
荷主の指定基準値は、前年度の取扱貨物の重量で9万トン以上です。ただし、何の重量を数えるかは、第一種荷主(主に発荷主)と第二種荷主(主に着荷主)で異なります。国の資料では、事業者としての全体の取扱い貨物の重量ではなく、それぞれの立場での取扱貨物の重量を指すとされています。
| 種類 | 指定基準値 | 数える重量 |
|---|---|---|
| 特定第一種荷主 | 9万トン以上 | 各年度に、貨物自動車運送事業者又は貨物利用運送事業者に運送を行わせた貨物の合計の重量 |
| 特定第二種荷主 | 9万トン以上 | 各年度に、自らの事業に関して運転者から受け取る貨物・運転者に引き渡す貨物(他の者にさせる分を含む)の合計の重量 |
| 特定連鎖化事業者 | 9万トン以上 | 各年度に、連鎖対象者(フランチャイズチェーンの加盟店)が運転者から受け取る貨物(他の者にさせる分を含む)の合計の重量 |
第二種荷主の重量からは、自らが運送を委託するもの(第一種荷主の立場の分)や、受渡しを行う日・時刻・時間帯を運転者に指示できないものを除きます。
重量を把握しにくいときの数え方
軽い貨物を扱う業種や、卸売業・小売業など着荷主になることが多い業種では、重量の把握に多大なコストがかかることが想定されるため、国の資料では次のような算定方法を用いることも可能とされています。
- 商品マスタ等で重量のデータを集計できる場合は、そのシステムに登録されている重量を元に換算する
- 容積を把握している場合は、1立方メートルあたり280kgとして換算する
- 輸送するトラックの最大積載量を貨物の重量として換算する
- 売上金額や仕入金額を基に貨物の重量を換算する
例:前年度に運送を委託した貨物の容積が年間350,000立方メートルのとき
350,000立方メートル × 280kg = 98,000,000kg = 98,000トン → 9万トン以上
届出と指定の流れ
- 前年度の取扱貨物の重量の実績を、第一種荷主・第二種荷主の立場ごとに把握する。
- 指定基準値以上であれば、自ら事業所管大臣に届け出る(手続きは原則としてe-Gov電子申請によるオンラインで、GビズIDが必要)。
- 届出の内容を踏まえ、届出を受理した各省庁が指定の手続きを行う。
- 指定のあと、翌年度以降も引き続き基準値以上であれば、翌年度以降の届出は不要。
前年度の実績が基準以上なのに届出をしなかったときや、虚偽の届出をしたときは、50万円以下の罰金が科せられます。基準値を下回り、再び基準値以上となることがないと明らかに認められるときは、指定の取消しを申し出ることができます。
特定荷主に課される3つの義務
- 中長期的な計画の作成:判断基準を踏まえ、「運転者一人当たりの一回の運送ごとの貨物の重量の増加」「運転者の荷待ち時間の短縮」「運転者の荷役等時間の短縮」について、実施する措置、具体的な措置の内容・目標等、実施時期等を記載します。毎年度提出することを基本としつつ、計画内容に変更がない限りは5年に一度の提出となります。
- 定期報告:指定を受けた翌年度以降の毎年度、努力義務の実施の状況を報告します。判断基準の遵守状況(チェックリスト形式)や、自らが管理する施設等での荷待ち時間等の状況が含まれ、計測した荷待ち時間等の平均時間を施設ごとに報告します。
- 物流統括管理者(CLO)の選任:事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者、すなわち重要な経営判断を行う役員等の経営幹部から選任し、届け出ます。
国のよくある質問では、特定事業者に指定された場合は中長期計画や定期報告の提出は義務となり、提出をしなかったり虚偽の報告を行ったりしたときは罰則が科されることがあるとされています。
特定荷主でない荷主との違い
特定荷主に当たらない荷主にも、荷待ち時間等の短縮などの努力義務はかかります。ただし、計画の作成・定期報告・物流統括管理者の選任の義務はありません。特定荷主に当たるかどうかは、前年度の実績を自ら把握して判断し、届け出る仕組みです。自社が当たるかどうか迷うときは、国の手引きやQ&Aの最新版、事業所管省庁の窓口で確認してください。
よくある質問
特定荷主の基準は何トンですか?
前年度の取扱貨物の重量が9万トン以上の荷主です。第一種荷主・第二種荷主それぞれの立場での取扱貨物の重量で判断します。
貨物の重量が分からないときは?
商品マスタ等の重量からの換算、容積を1立方メートルあたり280kgとしての換算、トラックの最大積載量での換算、売上金額や仕入金額からの換算などの算定方法も可能とされています。
特定荷主は国から通知が来るのですか?
自社が指定基準値以上に該当する場合に、自ら事業所管省庁に届け出る必要があります。届出を受理した省庁が指定の手続きを行います。
特定荷主に課される義務は何ですか?
中長期的な計画の作成、毎年度の定期報告、物流統括管理者(CLO)の選任です。
出典
- 特定事業者の指定(「物流効率化法」理解促進ポータルサイト)(国土交通省・経済産業省・農林水産省・ウェブページ)
- 中長期的な計画の作成(同ポータルサイト)(国土交通省・経済産業省・農林水産省・ウェブページ)
- 定期報告(同ポータルサイト)(国土交通省・経済産業省・農林水産省・ウェブページ)
- よくあるご質問・言葉の定義(同ポータルサイト)(国土交通省・経済産業省・農林水産省・ウェブページ)
- 5分でわかる物流効率化法の改正のポイント(「物流効率化法」理解促進ポータルサイト)(国土交通省・経済産業省・農林水産省・ウェブページ)
- 「荷待ち時間」と「荷役等時間」の算定方法について(同ポータルサイト)(国土交通省・経済産業省・農林水産省・ウェブページ)
- 貨物自動車運送役務の持続可能な提供の確保に資する運転者の運送及び荷役等の効率化の推進に関する基本的な方針(農林水産省・経済産業省・国土交通省・令和7年告示第1号)
- リーフレット「荷待時間や荷役作業・附帯業務の『業務記録』への記録義務の対象が、全車両に拡大」(国土交通省・リーフレット)
出典の確認日:2026年10月15日
この記事は、公開日時点の国の公表資料をもとにした一般的な情報です。個別の事業者が特定事業者に当たるかどうかの判断や法令の解釈は、国の資料の最新版や、事業を所管する省庁の窓口などでご確認ください。